パワースポット、筆遊びで有名な雁田薬師浄光寺。護摩法要、厄除け祈願、がん封じ、息災延命の祈願寺。癒しの里霊園。

栄村へ笑顔を(2011,3,24)

被災地である長野県下水内郡栄村に日本笑顔プロジェクトが「笑顔」を届けにお伺い致しました。今回現地へメンバーがお伺いするまでの経緯と含めて下記にご報告致します。


 

笑顔プロジェクトとして、大きな夢がある、大きな願いがある。それは「目の前の人を笑顔に」それは、すごく大きくもあり些細な夢なのかもしれない。

今回、我々は長野県北部地震で起きた栄村・野沢温泉の内栄村被災地でのボランティアに参加した。途中奇妙な感覚に襲われる。自分達が住む場所から、そう遠くない場所が、「道が割れ、家屋が崩れ、赤や黄、青の紙が各家々」に貼られている。正直「これは、笑顔どころじゃねぇよ」私の率直な気持ちです。

私は、お弁当を入れてきたリュックにある「笑顔」の用紙を誰にも見せないように努めた。間もなく集合場所に到着、段取りを聞き各グループ行動を開始。私のグループの作業は「先生方が住む教員住宅の荷物の引き揚げ」。教員住宅は「まだ作られて間もない(新しい)」と向かう車内で聞いていたが、百聞は一見にしかず、大人数人で「よいしょ」とやったら崩れそうな現場。

マスコミ風に言うのはご免だが、「剥きだしのコンクリ、グニャッとした鉄骨」事態の重さが、私の「普通感覚」を容易に戒めた。そこに「ビックリしたでしょ?」と笑顔でお声をお掛け下さったのが、現場で一緒に行動した、栄村東部小学校の教頭先生でした。

トラックの荷物の運搬場所や、寸断されている道の為の新しいルート案内など、手伝いにいった我々が先生に頼った部分が多勢にあった。そして、その日の活動が終わり、先生を車に乗せ集合場所に帰る時に私は、自分がここまでに着た時の感覚と被災地での感覚が遠い場所にあった事など話した。

そこで、先生が「この被災を受け、卒業式が中止になったんだよ、おまけに、この東部小学校が今年で閉校になっちゃうんだよ。」「えっ」「子供たちは今、親戚や近隣被災地に避難していてバラバラなんだよ。」「もう何もないんですか?」卒業式と言えば、学校行事のメインイベントのひとつ、卒業生を送る為に在校生は歌の練習をして、卒業生は授与式や別れの歌を練習していたはずなのに。

先生はこう続けた。「だけど、それじゃ子供たちかわいそうだから、式典じゃないけど卒業証書を渡す会をやるんだよ。」「よっかった。」私は少しココロが和んだ。それから、私は恐縮気味に、本当に無礼を承知で「笑顔プロジェクト」の話をした。日本各地から応援しています!!などなど話した。

先生は「うれしい。ありがとうございます。私が先ず率先して子供たちに笑顔で接しますよ!」と言って下さった。この被災を受け、卒業式が中止になった学校はまだまだある。日本を笑顔にすると言っておきながら、目の前の人を笑顔に出来なければ、夢や願いは消える。そこから、我々は東部小学校への笑顔プロジェクトとして注力した。
 

卒業式は来賓や「よくある卒業式」ではないけども。と先生の御言葉に甘え。我々も列席させて頂いた。卒業式当日、全校生徒22名、内卒業生7名の「東部小学校の卒業式」が始まった。

余震等の心配を考慮して、短時間で式は進む。卒業生ひとりひとりに校長先生から卒業証書が手渡しされた。先生が言っていた「よくある卒業式」と何ら変わらない。ただひとつ違う事は、この学校が今年で無くなってしまうこと。最後に、生徒を座らせ校長先生が諭したこと。「みんな、今日はおめでとう(この言葉の意味は、卒業生と、この学校が閉校するにあたり、学校を卒業すると言う在校生に向けた言葉)、みんな、またよくここに集まってくれました、本当にありがとう。・・・・私は、今までの教員生活の中で一番ココロに残る卒業式でした。そして、一年生から六年生まで地震なんかに負けない!!その姿を見せてくれてありがとう。」

もう周りの保護者や関係者には涙を我慢する理由が見つからない。私自身、カメラを回す手が震えて、「本当にみんなすごい!」子供たちは宝です。そして、教頭先生から、我々を紹介して下さり、笑顔を渡しました。校長先生のお言葉をお借りすれば「今までで一番の笑顔」がそこにありました。式も終り、記者達が卒業生に質問した。記者「将来は何になりたい?」卒業生「ぼくは栄村の役に立ちたいです。」この子供たちすごい。

我々笑顔プロジェクトメンバーは、今回ご縁があって「笑顔」を渡すことができました。しかし、本当は我々が笑顔をもらったのかもしれない。今回の東部小学校の卒業式は我々と同じ北部、日本に住む者として感慨深くなるものではないでしょうか。

最後に、今回ご協力頂いた、栄村東部小学校、校長先生、そしてご縁を頂いた教頭先生、他先生方の皆様、この度は誠にありがとうございました。この場をお借 りして深く感謝申し上げます。まだ、避難生活等、復興が始まったばかりでございますが、今後も我々は微力ながら支援の手を止めません。何なりと仰って下さ いませ。

そして、東部小学校の卒業生、生徒の皆様へ、この度は本当におめでとうございました。皆さんが見せてくれた、その「笑顔」「地震に負けない姿」を見て我々が勇気や希望をもらいました。本当にありがとうございました。皆さんが見せてくれた、作られた笑顔じゃない、いつもの笑顔は本当に世界一素敵でした。ありがとうございました。

                        日本笑顔プロジェクト 文章:鷲森秀樹 写真:オオイガワレール